ザナドゥ

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著者: 戸画美角

感想:

「僕は知っていることだけしか知らないですよ」

知り合いの方が小説を書くということが本当に面白い。ということが分かった。 著者はとても物知りな方だなとずっと思っていて、そのことを直接伝えたこともある。 そして冒頭の言葉。その時は、ちょっと失礼なことを言ってしまったと後悔した。

しかしあれからご本人は、大きな公演に登壇するだけでなく、本も書かれ、やはり物知りであるということを証明されている。

そして小説を書かれた。

タイトルが「ザナドゥ」 その意味が知りたくて読み始めた。読めば書いているだろうと。 でも中身を読んでもその意味は書かれていなかった。 仕方がないのでググったところ、昔のモンゴル帝国の都の名前であり、現代では桃源郷を意味するらしい。 そして二回目を読み、なるほどと、物語とつなげることが出来た。そして面白いと思った。

今、あとがきを読むと、物語へと昇華させている舞台裏が解説されていた。

「モノを抽象化し、そして具現化する」というテクニックを小説でもいかんなく発揮されていることがよく分かった。 (当時からそんなプログラミングコードを思いつくなと心から思わされていた。あるいはこの力があるからこそこうして小説におとしむことが出来るのかもしれない) 小説の技法も物語ごとに上手くなっていると感じた。

またお叱りを受けるかもしれないけど、ここに僕なりのささやかなエールを込めて「面白かった」と伝えたい。