11文字の殺人

著者: 東野圭吾
発行: 1990年

あとがきを読んで、東野圭吾宮部みゆきが同世代であることを知った。 仲が良いことは知っていたが、彼女は社会派ということもあり、世代が一つ上ぐらいのイメージがあった。

著者は85年のデビューから「放課後」でその年に江戸川乱歩賞をとっているものの 、出世作である「秘密」や「百夜行」、1999年と2000年の出版まで10年間以上鳴かず飛ばずの時代があった。

東野が、本格ミステリー作家と一線を画すところは、社会問題を題材にし、かつ人間ドラマを緻密かつ丁寧に描いているからだと思っている。

この作品は、まだ売れていなかった時代ということになるが、バブルの余韻が残る日本という舞台を使い、殺人ミステリーでありながら、人を殺すことの罪深さも描かれている。

ただ幾分か村上春樹の要素がはいっていたような気がするのは僕だけだろうか? もしかしたら彼は、殺人ミステリー小説作家版村上春樹なのかもしれない。